人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Do Something II

dosmthng.exblog.jp
ブログトップ
2006年 04月 20日

経済発展を可能にするものは何か memo

KeyWords: 発展段階説,Development Trap, Takeoff

現在の世界経済を見てみると,より興味深いのはOECD諸国とLDCs(Less Developed Countries)との経済発展度合いの差よりもLDCsの中での成功組と不成功組との差であるような気がする。(後日追加:これは俺自身にとって)今で言えば,中国やインドなどの高成長実現諸国とモザンビークやタンザニアなどの低成長諸国との差のことだ。一昔前で言うなら,日本や韓国などの高度経済成長国とアフリカ諸国との差のことだ。

経済学者は高度に発展したOECD諸国と一番プリミティブな経済状態の国々とを比較してきた。List や Rostow などの経済発展段階説に沿って考えれば,プリミティブな諸国もOECD諸国がかつて経験したような段階を経ることによって経済的に発展していくことができると言えるかもしれない。

だが,もし経済発展に経済理論が予想するようなトラップ(どんなに頑張っても,ある条件のためによろしからぬ状態から抜け出せないもの。ある条件とは様々なものがある。)が存在するなら,100年以上も前にトラップをクリアした諸国と今でもトラップに陥っている国々を比較してもしょうがない可能性がある。まず,100年以上前に高度に経済発展した国々(イギリスなどのヨーロッパやアメリカ)が発展を可能にできた理由を現在の発展途上国に適用してみても現実に成功していない。次に,かつて経済発展を実現した諸国は,当時発展できた理由とは別の理由によって今の経済的繁栄を維持している可能性がある。具体的に考えると,そうした国々ははじめに重金主義・重銀主義・重商主義,続いて産業革命を経て発展を達成しているが(もちろん,その他の所有権の確立などのいろいろな要因もある),現在そうした国ははじめに挙げた3つの主義を貫いていない(具体的に言えば,それらの主義を要約できる保護貿易主義は経済学者の声のせいか(?)現在なりを潜めている)。日本を考えれば,1955年から徐々に始まる高度経済成長は護送船団方式と終身雇用制度に拠るところが大きいだろうが,現在ではそうした仕組みは急速に影を消しつつある。そう考えると,100年以上前にトラップをクリアした国と今でもトラップに陥っている国の状態を比べても,それはトラップにある諸国がテイクオフ(離陸)することを何ら助けないかもしれない。非常に大雑把な言い方をすれば,飛んでいる鳥と枝木に止まっている鳥とを見比べても,鳥がどうやって飛びたつかはわからないということだ。

こうした考えは内生的経済成長理論と呼ばれる近年のマクロ経済学の一分野を懐疑的に見させる。人という資本(人的資本)に経済格差の原因を求めて,それを説明できたとしても,それは発展途上国をトラップからテイクオフさせることにはならない。経済格差の原因が発展を実現できる要因だとは限らないからだ。当然のことながら,トラップの存在を研究するのは,それ自体に意味があるのではなく,トラップからいかにして経済を脱せられるかということに目的がある。

日本はなぜ貧困を脱することができたのだろうか。また,インドはなぜ今高成長を達成できるようになったのだろうか。なぜテイクオフが可能だったのだろう。

(答えのない小論でもうしわけない。一応メモということで。)

by yoichikmr | 2006-04-20 23:51 | ECONOMICS_経済学


<< brazilian music      備忘録 memo; Monop... >>