2006年 03月 27日
Spatial Economy に関する論文は2本読みました。 Bertinelli L., Black D. (2004), "Urbanization and Growth," Journal of Urban Economcis 56, 80-96. と Iimi A. (2005), "Decentralization and economic growth revisited: an empirical note," Journal of Urban Economcis 57, 449-461. 前者は都市化(Urbanization)が成長に与える影響を理論的に示しており,とくに複数均衡にいたる様子を Murphy, Shleifer, and Vishny (1989)JPE を参考にして示している。この論文でも指摘している通り,urbanization と urban concentration という似ているが別物の概念が存在しており,また Agglomeration というこれまた似た概念も存在している。日本語で言えば,都市化,都市集中,集積,と一見分かりやすいんだけど,違いが何かということをわたくしまだ知りません。この論文ではこの「都市化」に注目していることを忘れてはいけない。 後者は,これまで理論と実証が相反する結果を出してきた領域に今一度身を突っ込む感じになっています。これまでの理論研究によると,Decentralization(今の日本で言う「三位一体改革」。これまた定義がかなり ambiguousですが・・・)は経済成長にプラスに貢献するはずなのですが,実証的に示された多くの研究によれば,全く逆に,Decentralization は成長にネガティブに働くらしいです(これは特に発展途上国で。先進国では有意な結果そのものが得られない)。ただ理論と整合的な実証研究もあるらしいです。Iimi (2005) によれば,どの期間のデータを用いるかで結果が変わるという可能性があるようです。いずれにしろ,まだはっきりしたことはわからないというのが現状でしょうか。
by yoichikmr
| 2006-03-27 11:42
| ECONOMICS_経済学
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