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Do Something II

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2005年 01月 05日

新年あけましておめでとう

年男の2005年は,卒業論文で始まった。そして,ふとしたことから大量の古典の購入に走った。
昨年末あたりから,うつらうつらと読んでいた軽い本に刺激されて,ふと入ったブックオフでそれは始まった。
正月なんだし契機良くいこうと思って,今後読みたい本を見つけたら,時間的に読めるかどうかは別にして次から次に買った。
まず,掘り出し物。
われわれはどこへ行くのか―世界の展望と人間の責任
カール・フォン・ヴァイツゼッカー 小杉 尅次 / ミネルヴァ書房

統一ドイツ初代大統領の兄である著者の最後の著。もともと宇宙論を専攻にしながら哲学科の教授をしたりと幅広い探求心を持っているらしい。ブックオフの最新本の棚で偶然発見。

岩波文庫は良書といわれる古典(そもそも良書だから古典となるのだが)を多く出しているのだが,ウチのそばには読書家が多いのか,良書がいっぱいあった。
ツァラトウストラはこう言った 上 岩波文庫 青 639-2
ニーチェ Friedrich Nietzsche 氷上 英広 / 岩波書店
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悲劇の誕生
ニーチェ Friedrich Nietzsche 秋山 英夫 / 岩波書店
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この人を見よ
ニーチェ F.W. Nietzsche 手塚 富雄 / 岩波書店
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のNietzsche3冊お買い上げ。彼の永劫回帰思想が展開されるツァラトゥストラと,ギリシャ悲劇を分析する「悲劇の誕生」(これは処女作らしいが,ちょっと特殊な内容っぽい),それから,彼が狂気に陥る前に書かれた本で,過去の著作の解説を自分でしてるっぽい「この人を見よ」。

そして,最近キェルケゴールの絶望思想に関心が戻っていたので,
不安の概念
キェルケゴール 斎藤 信治 / 岩波書店
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キェルケゴールから実存哲学への流れを意識したいところ。
それから,彼につながる哲学家として,ショーペンハウアー。
読書について 他二篇
ショウペンハウエル Arthur Schopenhauer 斎藤 忍随 / 岩波書店
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知性について 他四篇
ショーペンハウエル Arthur Schopenhauer 細谷 貞雄 / 岩波書店
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ショーペンハウアーが認めるカントについて,その認識論に強い好奇心を覚えるんだけれども,ブックオフでは「純粋・実践理性批判」「判断力批判」はなかなか発見できない。そこでしかたなくこれ。
道徳形而上学原論
カント Immanuel Kant 篠田 英雄 / 岩波書店
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カントは,ルソーの『エミール』に強い影響を受けて,「知の優越に耽っていた自分に羞恥の念を覚えた」と言ってる。
エミール〈上〉
ルソー 今野 一雄 / 岩波書店
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『エミール』は,小説形式で書かれた児童教育論で,自然礼賛,人為排斥の哲学が展開されているらしい。
小説は他にも,
ファウスト〈第一部〉
ゲーテ Goethe 相良 守峯 / 岩波書店
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ボヴァリー夫人
フローベール 生島 遼一 / 新潮社
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を購入。
できれば,英語とフランス語の古典は原語で読みたいんだけど,俺のフランス語は赤ん坊なのでひとまず日本語でいくことにする。だけど,こうやって古典を探ってみると,フランス語とドイツ語のものが多いことがよくわかる。特に,ドイツの哲学,文学が人類史上において持っている意味は極めて大きいのだとひしひしと痛感した。フランスの詩人Victor Hugoは「文学とは文明のことである」と言っている。言語が文化,文明にとって重要なのは文学を通してなのだろう。
最後の掘り出し物は『フランス文学史』(新潮社)。30年位前のもので,アマゾンで検索したらヒットしなかった。でも立ち読みしてみたら結構いい本なんだよね。13世紀くらいから第2次大戦後までの文学が網羅されてるし。高いんだろうなと思ったら300円だったので買った。

それから,偶然にも
善の研究
西田 幾多郎 / 岩波書店
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を発見したので購入した。日本の西田大先生の著作を読まずして日本人を語るなかれ,ということで。

こうやって古典の海を泳いでみると,いかに古典が興味深い題材を取り扱っているかを目の当たりにするだけじゃなくて,俺の2003年と2004年がいかにつまらないものであったか,もっと言えば,いかに俗なものであったかがわかる。ショーペンハウアーが『読書について』で言っているように,脱稿されたばかりの文献は受ける評価の数に劣るため,良書か悪書か判断するのが難しい。彼はそのほとんどが悪書だと言っているけど,まぁヘーゲルさえをもそういう範疇でくくるから,厳しすぎと言えば厳しすぎだな。
ただ,彼は随所にいいことを言っていて,そのひとつが多読することの弊害だ。本は,読んだ後に反芻し,あるいは反駁するという過程を経ることによって最大限に効果を発揮するものであって,それがなければ食べたものがいつかは全て排出されるのと同じようにしてきれいさっぱり消え去ってしまうと言う。同じようなことを,立花隆か誰かも言っていた。そして彼は「重要な書物はいかなるものでも,続けて二度は読むべきである」とも言っている。読み終わったあとすぐに二度目を読むのは気が引けるけど,時間を置いてでも,何回か読むことはいいことだと思う。特に哲学の本は一回では理解できないのが普通だし。

大学生活があと3ヶ月で,その後の大学院はかなり忙しいということを考えると,これまでの2年間に思索の糧として読書を続けなかったことが悔やまれる。もちろんこれからも読書は続けていくが,理想としていた「立花隆の乱読」を真似することは難しかった。

by yoichikmr | 2005-01-05 00:06


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