2009年 01月 03日
久々に書いてみる。久々に書くくらいだから、何か大事なことを書くんだろうと思うかもしれないけれど、特に大事なことなんてない。今この瞬間に思うことを書いてみる。 ■最近、アメリカの笑いのほうが日本の笑いよりも面白くなってきた。俺は普段、夜寝る前の日付変更時刻あたりにNBCでやってるコメディ「Jay Lenoのtonight show」と「Conan O'brien のlate night」を見ている。立て続けに放送される二つのお笑い番組なんだが、特別なお膳立てをしたりはしない。自分の名前を番組につけているJay LenoとConan O'brienのそれぞれが、その日のニュースをもとに、時には毒舌を吐き、時には体を張ったギャグをかます。番組途中で登場するゲストは多彩で、映画俳優や女優はもちろん、物まね芸人から作家、さらには政治家まで登場する。全体を通して、この半年間ほど、共和党大統領候補ジョン・マケインの一挙手一投足を徹底的にネタにしていて、それがあまりに面白すぎたので、アメリカの笑いには奥手だった俺もすっかりアメリカンジョークに馴染むことができた。聞くところによれば、面白いコメディアンは他にもいっぱいいるみたいなので、これから少しずつ発掘していこうと思ってる。 ■依然として、関西のしゃべくり漫才が俺の中での最高の笑いの形なんだが、今年のM-1を見る限り、「はて、日本の笑いはしゃべくり漫才じゃないほうに流れているんだろうか」なんて思う。2007年のM-1もレベルが低かったけど、2008年のM-1もレベルが低かったと思う。今年は特に、優勝者無しでもよかったんじゃないか?優勝したNON-STYLEは前から好きなコンビだけど、今回のネタはそれほどインパクトが無かった。M-1は2005年のブラックマヨネーズ優勝以来、年々期待はずれ度が大きくなってる。ちなみに、俺はボストン市内で日本のTV番組をDVDに焼いて売っている店で、M-1のDVDを1ドルで買った。入手するまで1週間以上かかり、その間日本の情報を遮断するのが大変だった。 ■日本では、いろいろな人が麻生首相バッシングで忙しいみたいだけど、事情を良く知らない俺からすると、それはすごくナンセンスに映る。「彼はその器じゃない」というような言い方に、何か良い未来でもあるんだろうか。「麻生の代わりになるやつもいない、日本の政治はダメだ」という言い草に未来を作る力が備わってるんだろうか。そういうネガティブなことを言う日本人一人一人に俺は言いたい、「お前が良い日本を作れよ」と。人のせいにするんじゃなくて、自分自身が良い日本を作るために精一杯努力しろよと言いたい。自分の置かれたその場所で、今このときから、少しでも良いものを作る努力を始めろよと言いたい。そういう努力をしていたら、麻生首相のバッシングをしている暇なんてなくなるだろうし、問題の本質がどこにあるのかもっとよく見えるんじゃないかと思う。逆に言えば、一人一人がそういう努力をしていなければ、どんなに見識のある人が首相になっても、より良い日本にはならないんじゃないか。 ■金融危機に翻弄される日本経済の姿を見ると、2つの意味で残念な思いに駆られる。第一に、日本人は「失われた10年」の教訓を世界中に伝えることが全くできなかった。1990年代の日本の不景気と2008年に発生した国際金融危機は構造が全く一緒という事実が示すとおり、国際金融危機の震源地だったアメリカは日本の教訓を全く学んでいない。それをアメリカの非と唱えるなら、そんなに楽なことは無い。実際は、日本の教訓をアメリカ人に教えることができなかったあらゆる立場の日本人の失敗なんだと思う。「海外出張です」と言って意気高揚してアメリカに来た金融マンや政府関係者、米国籍企業と取引する日本企業の会社員、アメリカの大学研究者と連携する日本人研究者。あらゆる立場の日本人が、アメリカ人と触れ合いながら、毎秒毎分のレベルで「日本の失敗」を説くことに失敗してきた。その結果が今回の国際金融危機なんだと俺は解釈している。第二に、日本は「失われた10年」の経験がありながら、この100年に1度の経済危機といわれる局面で主導的立場を取れていない。この20年間、日本人が必死になって理解しようとしてきたことは、なぜあれほど成功していた日本経済が、音を立てて崩れ去っていったのかということだったはずだ。この20年間に日本人が経験した苦労や挫折、惨憺たる思いを無にしないために、日本はこの危機で主導的立場を取るべきだ。しかし、それができていない。そこにもまた、国際的でミクロな局面でイニシアチブを取れない日本人の姿がある。今この期に及んでも、「日本の失われた10年間がいかに苦しいものだったか」をアメリカ人をはじめ世界の人たちに熱く語れていない。目を覚まそうぜ、日本人。俺たちひとりひとりが、自分たちの経験を語っていかなきゃダメだ。とりあえず、俺から始める。 ■宮崎学の最近の一連のヤクザに関する著作は学術的観点から見ても、非常に水準が高いと思う。質の高さの源は大きく言って2点ある。第一に、歴史の教科書で語られることの少ない最貧困層・被差別層の人々に焦点が当てられている。彼らがなぜヤクザにならないといけなかったか、彼らはヤクザとして何をしてきたのかが詳細に分析してあって、その分析は、おそらく歴史の観点から見ても、経済学の観点から見ても学ぶべきことは多い。学校で習う歴史と巷に溢れる歴史本の多くを見ると、歴史を作ってきたのは著名人だけであるように錯覚する。真実はそうではなくて、彼らの影に隠れながら、実質的に歴史を作ってきた人たちがいるわけだ。宮崎が着目する最貧困層・被差別層はその例だ。第二に、ヤクザという現象の時間軸と空間軸を縦横無尽に動き回って、実に丹念に調査をしている。近代ヤクザの出発点を明治初期としながら、時代をさらにさかのぼって鎌倉室町時代からのヤクザの系譜を調べている。空間的には、九州・近畿・中国を中心として、明治初期に近代ヤクザが形成される様子がよく調べられている。結果的に浮かび上がるのは、今日のヤクザの典型像とその系譜とのギャップだ。系譜を理解することで、今日の典型像がより鮮明に見えてくる。 ■2008年秋学期、一番楽しかったのは労働経済学を勉強していたときだった。初めて実証研究を体系的に勉強した。結果思ったこと、「実証研究はストーリーが明確で、研究の貢献が現実社会にすぐに適用されやすく、おもしろい」ということ。さらに、「反面、理論研究は、対象となる事象があいまいで、研究の貢献が後年覆される可能性が高く、つまらない」ということ。これまで理論研究ばかり追いかけていた俺にとってこの発見は目から鱗だった。例えば、俺が面白いと思った実証研究のひとつがこれ。シカゴ大学のTopel教授とテキサス大学のWard教授が1992年に発表した研究によると、アメリカ人にとって、新規就職後の最初の10年間の転職行動がその後のキャリア形成の基本になっていて、生涯賃金の3分の1はこの転職行動自体によって増えているらしい。何が面白いかというと、誰も実際に目や耳で観察することができない実態を、(そこそこ)高度な技術を使って発見しているということ、それから、その発見がまた別の実態を予測させるということ。 ■2009年夏には、人生初のアフリカ旅行を計画しているんだが、アメリカからアフリカまでの旅行が実はすごい長距離だということがわかった。カタカナにすると「メ」を「フ」にするだけだが、ボストンからでも平気で12時間かかるらしい。値段も安いとは言えず、1000ドル位するようだ。アフリカ縦断は難しそうだ。ヨハネスブルグから米東海岸まで、飛行機で24時間くらいかかるっぽい。ここは、フランスを見習ってアフリカ横断するかと考えてみたけど、その場合、生きて帰ってこられない可能性が高くなる。はて、困った。
by yoichikmr
| 2009-01-03 08:44
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